『レミーのおいしいレストラン』に出てくるイーゴーの名言

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GW初日は『レミーのおいしいレストラン』を見た。ネズミが料理をつくるという単純なストーリーだが、ピクサーの映画には随所に社会を風刺するようなシーンがあって、大人が見ても面白い。

なかでも印象的なのが、悪役の1人でもある料理評論家イーゴーで、物語のクライマックスに改心したイーゴーの独白が非常によい。

評論家というのは気楽な稼業だ。

危険を冒すこともなく、料理人たちの努力の結晶に審判を下すだけでいい。辛口な評論は書くのも読むのも楽しいし、商売になる。

だが、評論家には苦々しい真実がつきまとう。

たとえ評論家にこき下ろされ三流品と呼ばれたとしても、料理自体のほうが評論より意味があるのだ。

脚本家の本音がにじみでている。さらに物語のラストで、イーゴーは評論家を辞め、主人公たちが開業したビストロのオーナーになる。評論家ではなく、プレーヤー側にいく、ということで、これも強烈なメッセージになっている。イソップの童話には教訓があるが、これも現代の教訓というか、教育というか。

ホイチョイブラザーズの『東京いい店やれる店』という名著があるが、この改訂版の前書きはこのイーゴーのセリフが引用されている。センスがいい。

 

 

『騎士団長殺し』 は村上春樹版ギャッツビー

騎士団長殺し」を読みました。(以下ネタバレ含みます)

 

率直に言って面白かった、おすすめです。ここ最近の作品では、といっても前作から7年振りですが、一番好きかも知れません。

本作は村上ワールドの集大成です。内省的な主人公、一人称の描写、それから井戸や不倫や高級車などの小道具、異世界との行き来き、など。初期作品に見られたテーマや技法が復活しています。

それからフィッツジェラルドへのオマージュ。免色さんですね。主人公は小田原の山奥に住んでいるのですが、その隣にある豪邸にたった1人で住む免色さんというキャラクターが出てきます。素性も職業もわからないミステリアスな大金持ちです。

そんな免色さんがなぜ辺鄙な山奥に1人で住んでいるのかという謎に巻き込まれていく…これが本作品のメインプロットですが…。

そう、免色さんのモデルは明らかにジェイ・ギャッツビーですし、プロット自体が「グレート・ギャッツビー」のオマージュです。ああ、きっといつか村上版ギャッツビーを書きたたかったんだな。読み終わってそう感じました。

さて、今時点で村上春樹も68歳。前作「1Q84」からのインターバルが7年ですから、このボリュームの長編はあと1作書けるかどうかではないでしょうか。そう考えると、「騎士団長殺し」は小説家のキャリアや自身のルーツを全て詰め込んだ、縁起でもないですが、遺作的な雰囲気すら感じてしまうのです。

 

『選択の科学』 決める回数を減らして幸せに生きよう

選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義 (文春文庫)

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「決める」ことは本当にエネルギーを使います。ビジネスでも一番重たい仕事は意思決定で、普通の会社では、上にいくほど「決める」ことが仕事になります。

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