ガルシア=マルケス『百年の孤独』 ブエンディア一族の生涯について

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ガルシア・マルケス『百年の孤独』の感想と、この物語に登場するブエンディア一族の生涯を簡潔にまとめました。(ネタバレです:未読の方ご注意)

 

ガブリエル・ガルシア=マルケスの代表作『百年の孤独』は1967年に出版された。

ガルシア=マルケスが好きって知的でモテそうだし、一度は読まねばと思っていましたが…。このホリデーシーズンを使いついに読了。

この『百年の孤独』は、コロンビアと思われる国の架空の街マコンドを舞台にした、ブエンディア一族の繁栄と滅亡を描いた物語だ。相当な大河ドラマだが、事実を淡々と記録したかのような文体もあって、文字数は思いのほか多くない。ハードカバー473ページ。

そうは言っても7世代100年の物語。乱暴に言えばアルカディオとアウレリャノという2人の兄弟の生まれ変わりがルーティーンしていくのだが、悲しき南米の歴史や、無数の寓話が挿入され、一言で表現できない複雑な物語になっている。それだからか、読み終わったときはくたくたに疲れた。

率直な感想として、これは聖書だなと理解した。様々な人生のロールモデルが集まった寓話だと。時折ページを偶然に繰ってそこからちょっとだけ読み返す、と言っていた知人がいたが、よく理解できた。スペイン語で書かれた書籍の中で聖書の次に売れた本というのも、似たような理由からかも知れない。

このように、本作はストーリーに意味合いがないため、「あらすじ」が機能しない。しかし、登場人物が多く、名前がほとんど一緒のため、内容をすぐに忘れてしまいそうだ。

クイックリファレンスとしてブエンディア一族の生涯を簡潔にメモしておこう。

第一世代

No. 氏名 / 略歴
1 ホセ・アルカディオ・ブエンディア
生まれた村を出奔しマコンドを開拓。錬金術や死の予言に没頭する。晩年は精神を病み栗の木につながれ老衰により死去。恰幅が良く大柄。アルカディオ系の始祖。
2 ウルスラ・イグアラン
ホセ・アルカディオ・ブエンディアの妻で共にマコンドを開拓。飴細工の動物造り等で家計を支えるなど一族の大黒柱的存在。晩年は失明や正気を失うこともあったが100歳をとうに越すまで生き、本人も気づかぬ間に死亡していた。アウレリャノ系の始祖。

第二世代

No. 氏名 / 略歴
3 ホセ・アルカディオ
ホセ・アルカディオ・ブエンディアとウルスラ・イグアランの長男。幼少期にジプシーの娘に恋をして駆け落ちしたが、後に全身に入れ墨を施し帰還。大柄かつ巨根。レベーカを寝取り結婚。最後は寝室で何物かに刺殺。犯人は最後まで不明だった。
4 アウレリャノ・ブエンディア大佐
ホセ・アルカディオ・ブエンディアとウルスラ・イグアランの次男。若い頃は魚の金細工の職人だったが、次第に政治闘争に参加し、自由党革命軍リーダーとして幾度の戦争を指揮した。いくつもの暗殺や毒殺を切り抜け、老衰により死亡
5 アマランタ
ホセ・アルカディオ・ブエンディアとウルスラ・イグアランの長女。ピエトロ・クレスピとの恋愛を巡ってレベッカに敗れ生涯恨んだ。晩年は自身の死神と出会い予告どおりに死亡。生涯を通じて処女。
5 レベーカ
両親と死別しブエンディア家で育つ。ピエトロ・クレスピと婚姻寸前まで行くが、ホセ・アルカディオに寝取られ婚姻。ピエトロ・クレスピは自殺、これを契機にブエンディア家と決別。ホセ・アルカディオの死後は、頭が禿げ上がるまで屋敷に引きこもり、そのまま死去
6 レメディオス・モスコテ
マコンド初代町長であるドン・アポリナル・モスコテの末娘。9歳のうちにアウレリャノと結婚した。ピエトロ・クレスピとレベーカの結婚式の一週間前に、妊娠の自家中毒により急逝した。

第三世代

No. 氏名 / 略歴
7 アルカディオ
ホセ・アルカディオとピラル・テルネラの子。アウレリャノ・ブエンディア大佐に町長兼司令長としてマコンドをまかされるが、保守党に敗北し略式裁判の後に処刑
8 アウレリャノ・ホセ
アウレリャノ・ブエンディア大佐とピラル・テルネラの子。育ての親でもある叔母アマランタに求婚するが、巧く行かず自堕落な生活を送る。アキレス・リカルド大尉に射殺される
9 サンタ・ソフィア・デ・ラ・ピエダ
アルカディオの妻。3人の子供を産み、ブエンディア家の中興を作った。夫の死後、長期に渡りブエンディア家の維持管理を務めたが、ウルスラ死後に屋敷を去り消息を絶った
10 17人のアウレリャノ
アウレリャノ・ブエンディア大佐が革命軍の戦争中に17人の娼婦と作った17人の子供。いずれもマコンドを訪れるが、様々な理由によって殺される。

第四世代

No. 氏名 / 略歴
11 アウレリャノ・セグンド
アルカディオとサンタ・ソフィア・デ・ラ・ピエダの双子。ペトラ・コテスを愛人とし、牧場経営で富を築くが、長雨などにより没落。喉の痛みにより正妻フェルナンダのベッドの上で死亡
12 ホセ・アルカディオ・セグンド
アルカディオとサンタ・ソフィア・デ・ラ・ピエダの双子。バナナ会社の労働組合に身を投じる。政府側に敗れた後は、メルキアデスの残した羊皮紙を解読するために屋敷に引きこもる。ある時に羊皮紙に突っ伏して死亡。
13 レメディオス(小町娘)
アルカディオとサンタ・ソフィア・デ・ラ・ピエダの長女。周囲に死を招くほど絶世の美貌だが、同時に20歳でも読み書きできない知恵遅れだった。3月の午後に風に吹かれて永遠に姿を消した
14 フェルナンダ・デル=カルピオ
アウレリャノ・セグンドの妻。貧しい低地の街で厳格に育てられマコンドに嫁ぐ。ウルスラに代わりブエンディア一家を取り仕切る。没落する屋敷の中で、昔の女王の衣装を着たまま、ベッドの上で死亡していた

第五世代

No. 氏名 / 略歴
15 ホセ・アルカディオ
アウレリャノ・セグンドとフェルナンダの長男。法王を目指しローマに留学するが、落第し母親の死後マコンドに戻る。ウルスラの残した隠し財産を発見するが、世話をしていた子供達に財産を強奪され浴槽で溺死させられた
16 レナータ・レメディオス(メメ)
アウレリャノ・セグンドとフェルナンダの長女。厳格な躾で生活していたが、マウリシオとの逢引きが見つかったことで、母親の実家で尼僧として幽閉。アウレリャノ・バビロニアを産むも、そのまま生涯を終えたと思われる。
17 アマランタ・ウルスラ
アウレリャノ・セグンドとフェルナンダの次女。ベルギーに留学、後にマコンドへ帰国。甥アウレリャノと恋仲になり、最後のアウレリャノを産む。出産時に出血が止まらずに死亡

第六世代

No. 氏名 / 略歴
18 アウレリャノ・バビロニア
レナータ・レメディオスとマウリシオ・バビロニアの子。叔母アマランタを寝取り結婚。巨根。メルキアデスの羊皮紙が全ての予言を告げていることを解読。廃墟となったマコンドを見届けたブエンディア一族の最後の1人となった。

第七世代

No. 氏名 / 略歴
19 アウレリャノ・バビロニア(豚のしっぽ)
アマランタ・ウルスラとアウレリャノ・バビロニアの子。叔母と甥の婚姻により生まれた「豚のしっぽ」を持った最後のアウレリャノ。出生直後に死亡し、蟻の大群によって運ばれていった。

 

百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)

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