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戦略コンサル最大の発明は自社の経営手法

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戦略コンサルが発明した最もイノベーティブだと思うのはコレ。

 

なぜ戦略コンサルは学生を惹きつけるのか?

外資系戦略コンサルファームは今なお就職先として人気が高い。最近は、起業やスタートアップ企業に行く学生も増えたようだが、今なお東大・京大・早慶などの優秀な学生が多く志望する。

確かに国家公務員や一般企業よりも高収入だ。しかし、勤続年数の短さや、過酷な労働時間など、ネガティブな面も多い。コンサルに受かるような優秀な人は他の企業でも順調に昇進すると仮定すれば、少なくとも経済的には、商社・金融・メディアなど高年収で安定した企業の方が合理的な選択だろう。

では、戦略コンサルはどのように学生への人気を高めていったのだろうか? 

 

ピラミッド型組織の問題点

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会社組織は、指揮系統と役割を明確にしなければいけない。このため、有史以来ほぼ全ての組織はピラミッド型の構造を避けられなかった。このピラミッド型組織を上手に運営するポイントは2つしかない。

1つは、優秀な人材を採用すること。もう1つは、この人材プールの中から、組織に残すべきロイヤリティを持った人間を選抜し、不要な人間をクビにすること

どんな組織であっても、この2点が人事戦略の根幹になっている。

 

ダメな人間を優遇し、優秀な人間に冷たい日系企業

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日本の労働政策の最大の欠点は、この2点目の不要な人間をクビにすることが難しいことである。ここから派生する問題はたくさんある。例えば、クビにできないが本流の組織から追い出すために、子会社や関連会社など人事権が及ぶ組織に重要度が低いポストを作る。これが天下りや出向だ。

でも、天下りや出向にも数に制限がある。メガバンクは毎年ピカピカの総合職を200人ほど採用する。このうち、部長になれる人は20~30人ほど、取締役に至っては1人いるかいないかだ。そう考えると、天下り・出向以外の選択肢が必要になる。

こうして企業内の仕事を多人数でシェアしようという発想になる。このワーク・シェアリングによって、生産性が下がり、給与も下がる。日系企業の生産性が低いと言われるが、これはあたりまえだ。なぜならば、生産性ではなく多くの雇用を確保することを目的としているのだから。

 

最大の成功要因はモラトリアムというキャリア・パスを提案したこと

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この日本の労働政策の欠点を戦略コンサルは巧みに衝いた。

一番成功した要因は、コンサルはファースト・キャリアの勉強期間という位置づけを浸透させたことだろう。

多くの学生は、就職するときに人生が制限されることに少なからず抵抗感がある。そんな学生に対し、戦略コンサルは、コンサルタントの仕事はキャリアのモラトリアム期間だとアピールした。戦略コンサルに色はない。ここでキャリアと人脈を作れば、転職市場の価値も高い、と。

この提案は、日系企業の長い下積み期間や、低レベルな人材とのワークシェアに辟易しており、また早い段階で専門性を決め切りたくないエリート学生にヒットした。なので、そもそも一生コンサルタントに勤めるつもりなく就職するわけだ。

さらに、UP/OUTという厳しい環境や、受験勉強のような独特の試験形式、その結果の高い倍率も、偏差値競争に慣れている彼らのハートを刺激した。

この相乗効果によって、優秀な人材を大量にプールしつつ、しかも適齢期を超えた人材が勝手に組織の外に出ていくという、エコシステムをつくることに成功した。使い道のないシニアに頭を悩ませる日系企業の人事部から見れば、夢のような話だろう。これによって、戦略コンサルはピカピカに優秀な人間の肉体的・精神的に最も充実した期間だけを使うことができるようになった。

こう考えると、戦略コンサルの人事戦略そのものが実に考えられたモデルとなっていることがよくわかる。

 

戦略コンサルは悪なのか?

それでは、このような組織体系が悪なのかといえば、NOだ。

確かに戦略コンサルで敗者となった場合、最も価値がある数年間を搾取され、ドロップアウトして終わる。反対に日系企業では、自分から辞めない限りは面倒を見てくれる。しかし、敗者であることに変わりはない。OBした人というラベルを張られ、お荷物として生きていくのだ。これは相当ツラい。

要は、人に使われているうちは、ピラミッドの下にいる間は、どこの組織であっても辛いことは変わらないのだ。どんな組織であっても、仕事であっても、組織にいる以上は勝たなければならない。組織で勝てなければ、起業など他の軸で、社会で勝つしかないということだろう。

ぼくたちはそんな残酷な社会で生きている。

 

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