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BEAMSとUNITED ARROWS セレクトショップ40年の過去と未来

マーケティング

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BEAMSが40周年を迎えたそうで設楽社長が朝日のインタビューに答えている。セレクトショップ業態が始まって40年。その過去と未来について。

 

 

輸入販売業としてスタート 

BEAMSは1976年に原宿に開店した6坪の店からスタートしたそうだ。「AMERICAN LIFE STYLE SHOP」としてアメリカ西海岸の衣料品を輸入販売する店舗だった。当時は雑誌『ポパイ』の全盛期で、ポパイが頻繁にBEAMSを取り上げたことで、人気店となった。

 

セレクトショップ業態の発見

BEAMSが凄かったところは、これを一過性のブームとせず、セレクトショップという業態を築いたところだろう。早い段階で、原価率の高い仕入品の割合を下げ、自社製品の取り扱いを開始。高品質のブランド商品で最先端のイメージを維持しつつ、利益率の高い自社ブランド品で稼ぐ、というビジネスモデルを開発した。

 

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UNITED ARROWSの独立

1989年にBEAMSの事実上の創業者だった重松理が約30人のメンバーを引き連れてBEAMSから独立し、UNITED ARROWSを開業した。

元々、BEAMSは段ボールの製造販売を行っていた新光というオーナー企業のサイドビジネスとして始まった。オーナー社長だった設楽悦三を口説いてBEAMSを立ち上げたのが重松理だった。その後、オーナーの息子である設楽洋が電通を退職して家業を継ぐ。番頭である重松の役職が常務だったのに対して、中途入社の設楽洋は専務だったそうだから、立ち上げの自負があった重松は「自分でやりたい」という気持ちが強くなったのかも知れない。

 

オーナー企業 vs 上場企業

BEAMSから独立したUNITED ARROWSはあらゆる点でBEAMSと違う路線をとった。社名とした「UNITED」にはオーナー企業だったBEAMSへのアンチを感じる。ブランドイメージも、アメリカ西海岸のカジュアルな雰囲気のBEAMSに対して、UNITED ARROWSは高級感のある落ち着いた雰囲気からスタートした。

最大の違いは、BEAMSがオーナー経営を貫いたことに対して、UNITED ARROWSは2003年に東京証券取引所に上場し、名実ともに公開企業になったことだろう。BEAMSが設楽商店であるのに対して、UNITED ARROWSは重松商店にならなかったのだ。

BEAMSは資本金も20百万に抑えており、経営情報を開示する義務がない。このため、経営方針や詳細情報は謎に包まれている。一方のUNITED ARROWSはIR情報の開示が義務付けられるわけだから、経営スタイルも大きく異なることになる。

 

セレクトショップ業界の寡占

こうして異なる両社だが、セレクトショップという業態では補完的な役割を果たし、業界を寡占する2大勢力であり続けている。

直近の売上高を比較すれば、BEAMSの685億円(2015年2月期)に対して、UNITED ARROWSは1,310億円(2015年3月期)と、単純に見ればUNITED ARROWSの規模が大きい。もちろん、事業価値は売上だけで測るものではないから、一概に比較はできない。ただ、未来を考えるとBEAMSが良好かなと思うのだが、どうだろう。

 

オーナー経営に戻るファッション業界

最近、ファッション業界を中心に企画系の会社が上場を廃止するケースが多い。どの会社もMBOした理由は似ていて、「チャレンジングで長期的な企画が理解されない」からだという。上場企業はバクチが打ちにくいのだ。

印象的だったのはサザビーリーグとTSUTAYA。前者はロンハーマンやシェイクシャックなど様々な新規業態をスタートしているし、TSUTAYAもMBO後に代官山蔦屋書店を開業した。代官山蔦屋書店それに次ぐ蔦屋家電などの新業態が利益を産んでいるかは微妙だが、少なくとも話題性や固定客の獲得に成功しており、新しい価値を生み出していることは周知の事実だろう。

 

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セレクトショップ業態のこれから

セレクトショップはそもそも立ち位置が難しい。低価格なファストファッションと高価格帯のオリジナル・ブランドに挟まれ、いわば中価格帯で勝負している。いかにアーリアダプターからの信頼を失わずに、マジョリティへの販売を維持できるかが経営のキモだったはずだが、そもそも個人の価値観が多様化してきており、アーリーアダプターという概念自体が少し古くなった印象がある。

今後エッジが経ったビジネスは、卓越した個人によるスモールビジネスになっていく気がする(熊谷隆志さんの『WIND AND SEA』のように)し、マス向けにはファストファッションのグローバルな衣料チェーンが大きくなり続けるだろう。

セレクトショップは企画力が無ければ生き残れないだろうし、前例を見ると、このためにはオーナー企業・非公開企業の方が親和性が高い気がする。

一説によると産業や企業は30年で一つの寿命だそうだ。BEAMSが誕生して40周年、既に潮目が変わる中にいるのかも知れない。

 

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