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『世界の権力者が寵愛した銀行』 パナマ文書で話題のタックスヘイブンを知りたい方へ

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パナマの法律事務所が租税回避目的で作成したペーパーカンパニーの顧客リスト、いわゆるパナマ文書、が流出して世界各国VIPのスキャンダルになっています。

タックスヘイブンで税金逃れをするためにもコストがかかります。この経費が節税額より安くなければ租税回避をする意味もありません。したがって、私たち庶民にはどこか遠くにあるニュースなのですが、ゴシップ的に関心を持った方も多いでしょう。

私も、昔からタックスヘイブンという仕組みに純粋な好奇心があって、今年に入ってから1冊の本を読みました。内容が専門的ですし、したがって強くお薦めするものでもありません。しかし、タイムリーな話題でもあるので、ご紹介したいと思います。

この『世界の権力者が寵愛した銀行』は、スイスにあるプライベートバンクの顧客情報を、ここには脱税や不法行為による蓄財など様々なマネーが集約されているのですが、銀行のITエンジニアが司法・税務当局へリークした事件のノンフィクションです。

著者は、チャールズ・ファルチャーニというイタリア人で、顧客情報をリークしたITエンジニア本人。つまり、この本はなぜ顧客情報のリークという犯罪に至ったのか、自身の犯行正当性を訴えた内容になっています。

ですので、いたって主観的な記述が多かったりして、あまり面白くありません。きっと本書を出版した講談社も気がついていたのでしょう、日本版には、本編を挟んで橘玲さんの肉厚なイントロダクションと解説が付属した構成になっています。

橘玲さんは海外投資のコミュニティを主催するなど海外投資に知見がある方ですので、この解説が実に面白い。例えば、タックスヘイブン国がなぜ存在するかという疑問については、次のように記載されています。

規模的には本来「国家」になれるはずもないのに、歴史の偶然から「主権」を手に入れた地域が生まれた。ファルチャーニが生まれたモナコ公国もそのひとつで、フランスの一地方であるにもかかわらず、イタイアとの領土交渉の過程で主権国家として独立を果たした。~中略~

こうしたミニ国家・地域は、規模が小さすぎて自立することができない。そのためエネルギーなどのインフラを近隣の大国に依存しつつ、「主権」を利用して金融機関や富裕層に有利な税制を定めることで生き残りをはかる独特の戦略を採用した。これがタックスヘイブンだ。

繰り返しになりますが、ファルチャーニが書いている本編は余り面白いものではありません 笑 。読まれる際は、橘玲の解説を買うつもりで…。

世界の権力者が寵愛した銀行 タックスヘイブンの秘密を暴露した行員の告白

世界の権力者が寵愛した銀行 タックスヘイブンの秘密を暴露した行員の告白

  • 作者: エルヴェ・ファルチャーニ,アンジェロ・ミンクッツィ,橘玲,芝田高太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/09/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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