Web2.0という壮大な詐欺

f:id:pekey:20180513160704j:plain

2000年頃に「Web2.0」というマーケティング概念があって、多くのコンテンツホルダーが騙されたことがあった。

Web2.0とは、『旧来は情報の送り手と受け手が固定され送り手から受け手への一方的な流れであった状態が、送り手と受け手が流動化し誰でもがウェブを通して情報を発信できる』と、Wikipediaに書かれている。

確かに、ブログやSNSが普及したことで、この概念は正しいことが証明された。

でも、僕の記憶によれば、当時の解釈は少し違っていて、コンテンツは多くの人に(無料で)開放されることで、コンテンツの収益は最大化される、という説明がされていたと思う。

Web2.0は、インターネットそのものが当初から持っているリバタニアン的思想、例えばハイパーリンクを禁止することはできない―とうまく結びついた。

そして、コンテンツを持たないベンチャー各社がこの正論をうまく説いていき、インターネットという新しい産業の誕生にとまどいがあった旧来のコンテンツホルダーがなんとなく丸め込まれた、という構図だと思う。

具体的には、この時期に、新聞社や出版社が無料または格安でネットメディアにコンテンツを提供した。これにより、ネットメディアやサーチエンジンは、自社リソースを割くことなく、インターネット全体の価値向上にタダ乗りできた。

そして、既存のコンテンツホルダーは自らの死期を(大きな流れの中のほんの少しだろうが)早めることになったのだ。

地主は土地をタダでは貸さない。

当たり前の話だけれど、Web2.0というパラダイムシフトを感じさせる思想の中で、多くの「地主」たちは判断を誤ったように思う。今ではどのコンテンツホルダーも権利を重視し、ペイウォール率もどんどん高まっている。当たり前だ。繰り返しになるが、地主は土地をタダで貸さないのだ。

一つの思想で世の中が誤った方向に動くことは歴史上たくさんあるのだろうけど、ぼくが実際に見た事例としては、このWeb2.0が一番印象に残っている。