書評

勝間和代「お金は銀行に預けるな」

最近は活躍を見かけないが、勝間和代さんという慶応在学中からアーサーアンダーセンで働き、しかも学生結婚してワーキングマザーでもあり、さらにその後のマッキンゼー在職中は「給湯室でネギを切っていた」という生きる伝説の1人が書いた金融指南書である。…

No One Else / Kikuo Johnson

よく行くカフェにペーパーバックスが置いてあるコーナーがある。カフェを間借りして、洋書を委託販売する小商のようなんだけど、儲からなそうだな、と思いつつ、品ぞろえにセンスがあるので、よく眺めていた。少し前に、この『No One Else』を見つけて、表紙…

まんだら屋の良太

DMMコミックで漫画を買うようになり、次第に「蔵書」が増え、DMMが潰れたら終わりという具合になっている。なかでも面白かったのが「まんだら屋の良太」という昭和のコミックで、何度読んでも面白く、すでに3周は読んでいる。これは名作。 有名な漫画ではな…

村上春樹の『一人称単数』を読んで

村上春樹の新刊『一人称単数』を読んだ。小説でいえば、前作は『騎士団長殺し』の2017年。約3年振りの新刊らしい。もっとも、奥付を見ると、各短編作品は『文学界』で2018年頃から発表されていたようだ。雑誌で新作が発表されていたとは知らなかった。 収録…

新潮クレストブック20周年とクレストシリーズのベスト20

海外小説を紹介し続けて、新潮クレストブックが20周年だそうです。 新潮社のサイトでは、20周年を記念した文章が掲載されていますが、これを少しだけかいつまんだだけでも、小説への愛情がひしひしと伝わってきます。 世界のあちこちで日々生まれている新鮮…

あらすじが即ネタバレ 宮部みゆきの最高傑作『ぼんくら』

本棚を整理していると、どうしても昔の本を読み返してしまいます。そんなわけで、宮部みゆき『ぼんくら』を再読したのですが、やはり面白くて、こうしてレビューを書くことにしました。 私は『ぼんくら』が宮部みゆき作品の中で最も好きです。ストーリーが面…

書評:火山のふもとで

週末に本棚の大掃除をしました。良い本を再発見したので、いくつか書いていきたいと思います。

カズオイシグロは『日の名残り』がおすすめ

カズオ・イシグロがノーベル文学賞を取りましたね。

『生涯投資家』コーポレートガバナンスは権力闘争そのもの

村上世彰『生涯投資家』を読みました。

『家康の遠き道』 権力闘争は昔も今も変わらずに

岩井三四二『家康の遠き道』を読みました。

『騎士団長殺し』 は村上春樹版ギャッツビー

「騎士団長殺し」を読みました。(以下ネタバレ含みます) 率直に言って面白かった、おすすめです。ここ最近の作品では、といっても前作から7年振りですが、一番好きかも知れません。 本作は村上ワールドの集大成です。内省的な主人公、一人称の描写、それか…

『選択の科学』 決める回数を減らして幸せに生きよう

選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義 (文春文庫) 作者: シーナアイエンガー,櫻井祐子 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2014/07/10 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (6件) を見る 「決める」ことは本当にエネルギーを使います。ビジネ…

2017年に買った本

買った本・読んだ本のリストです。(随時更新)

『紙のプールで泳ぐ』

先週末は嬉しいことがありました。片岡義男の『紙のプールで泳ぐ』の単行本を古本屋で発見したのです!

『職業としての小説家』を読めば村上春樹がノーベル賞候補になった理由がよくわかる

職業としての小説家 (新潮文庫) 作者: 村上春樹 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2016/09/28 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (10件) を見る 少し前になりますが、村上春樹が雑誌『MONKEY』で自身の小説家としてのキャリアを振り返ったコラムを書いて…

『Designed by Apple in California』を買いました

過去20年のApple作品をまとめた写真集『Designed by Apple in Califolnia』が発売されています。Appleストア銀座店とオンラインストア限定。問題はその値段で、大判はなんと3万円です。

『最新ボディビル入門』 窪田登

コンプレックスを解消したときの精神的な充実感はヤバい、そう気が付いたのは10年ほど前でしょうか。自分なりの理想や目標に近づくことは、結果ではなくプロセスを含めて、メンタルにポジティブな効果があります。

『Who Gets What』 オカネで買えないマーケットをどうやって効率的にするか?

ノーベル経済学賞を受賞したアルビン・ロス教授の『Who Gets What』をGW休暇を使って読みました。 この本のテーマは「マッチメイキング」、つまり需要と供給のベストな組み合わせを探ること、です。「市場」という経済学の古典的なテーマのように見えます…

『歴史の終わり』 地方移住やノマドに見る自由への欲求

フランシス・フクヤマ『歴史の終わり』を読みました。フランシス・フクヤマは日系3世の著名な国際政治学者です。1992年に出版された本書は、冷戦後の国際構造を説いた一説として、様々な論争を巻き起こしました。 出版後すでに20年以上が経過し、すで…

『世界の権力者が寵愛した銀行』 パナマ文書で話題のタックスヘイブンを知りたい方へ

パナマの法律事務所が租税回避目的で作成したペーパーカンパニーの顧客リスト、いわゆるパナマ文書、が流出して世界各国VIPのスキャンダルになっています。 タックスヘイブンで税金逃れをするためにもコストがかかります。この経費が節税額より安くなけれ…

『お金の流れはこう変わった!松本大のお金の新法則』 初心者向けの金融経済本におすすめ

「お金の流れ」はこう変わった! 松本大のお金の新法則 作者: 松本大 出版社/メーカー: ダイヤモンド社 発売日: 2012/11/30 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (1件) を見る マネックス証券の松本大さんによる『「お金の流れ」はこう変…

『青のパティニール』 最初の風景画家ヨアヒム・パティニール

「青のパティニール」という本を買いました。

ガルシア=マルケス『百年の孤独』 ブエンディア一族の生涯について

ガルシア・マルケス『百年の孤独』の感想と、この物語に登場するブエンディア一族の生涯を簡潔にまとめました。(ネタバレです:未読の方ご注意)

『Return of the NIGO』 Sotheby’sで6000万円売り上げたNIGOのオークション・カタログ

2015年11月に開催されたサザビーズのオークション・カタログが、代官山蔦屋で平積みされていました。 「Return of the NIGO」と名付けられた今回のオークションは、たぶん2回目だと思いますが、その名のとおりSTARWARSのトイを集めたシリーズです。中身はこ…

遂に『百年の孤独』に手を出す

ガルシア・マルケス『百年の孤独』を買いました。 このところ海外小説の翻訳は文庫化されないことが多くなりました。 したがって、高めのハードカバーで買わざるを得なく、この『百年の孤独』も3,024円。トマス・ピンチョンも同様にハードカバーしか発売され…

村上春樹が推薦していた小説をリストにしました

村上春樹がエッセイなどで推薦していた本を、小説を中心にリストにしました。 ホリデーシーズンのブックリストとしてお使いください。

村上春樹の小説では『納屋を焼く』が一番好き

村上春樹が『風の歌を聴け』でデビューしたのが1979年ですから、1983年に出版された本作はデビュー4年目に出版された短編集になります。 初期の作品は、いわゆる村上タッチの情景描写が多く、これを揶揄する人も多いですが、私は好きです。田舎の思春期時代…

『チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷』 チェーザレに学ぶ人間社会で勝ち残る4つのルール

チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷 (新潮文庫) 作者: 塩野七生 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1982/09/28 メディア: 文庫 購入: 9人 クリック: 191回 この商品を含むブログ (123件) を見る チェーザレ・ボルジアの失敗は、ホリエモンや村上ファン…

『東京いい店やれる店』 サブカルチャー史に残すべき名作

東京いい店やれる店 作者: ホイチョイプロダクションズ 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 1994/08/10 メディア: 単行本 購入: 7人 クリック: 116回 この商品を含むブログ (27件) を見る この名作を知らないあなたへ。

『文化の樹を植える』 函館に代官山蔦屋書店の2号店ができる

文化の樹を植える。 「函館蔦屋書店」という冒険作者: 楽園計画出版社/メーカー: ネコ・パブリッシング発売日: 2013/03/28メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 代官山蔦屋書店の2号店が函館にできるということで、建設までをまとめた本が出て…