社会人に学んだ「世の中の仕組み」の一つがコレ。
社会に出て今までの考え方が違っていたことに気が付くことがあるが、その中の一つに「貸し借り」がある。昔は「借りをつくる」のは良くないことだと思っていた。
返せないことがあれば信頼を失うし、お金の貸し借りのように、貸借はあまり良くない印象がある。なるべく人に借りがないほうがいい、そう親に言われて育った。
けれど社会で人づきあいが巧い人を見ると、必ずしもそうでないことに気が付いた。
人づきあいが上手な人は、ほぼみんな、借りを上手につくっている。
例えばささいなことでも知人にお願いする。ちょっと厚かましいと思えるぐらい、知り合ったばかりの人にもお願いごとをしちゃう。
ぼくも数人の人づきあい上手にこのようなお願いをされたことがある。きっとみんなあるだろう。仕事で付き合いある人を紹介してほしいとか、ぼくが知っているお店を紹介してもらえないかとか、だいたいが小さなお願いだ。
この「小さなお願い」というのがポイントのようだ。彼らは決して大きな、相手が負担になるようなお願いはしない。ささいな、取るに足らないお願いをする。
そして、もちろんこれが大事なのだが、この小さな「借り」を必ず返す。この小さなやりとりでコミュニケーションが生まれ、次第に大きな話題につながっていく。
そう、貸し借りというより、コミュニケーションのツールなんだ。
雑誌ゲーテに「本革の手帳」というビジネスマン向けの格言のようなコラムが連載されているのだが、先だっての回で、「男が男に惚れたら仕事をつくるしかない」という格言があった。
まさに貸し借りを作れという話だろう。
学生時代とは違うこれが社会人としての人間関係の深め方だということに気が付いたのは、もちろん社会に出てしばらくたってからだ。