『青のパティニール』 最初の風景画家ヨアヒム・パティニール

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「青のパティニール」という本を買いました。

 

青のパティニール 最初の風景画家

青のパティニール 最初の風景画家

 

 

六本木ABCでジャケ買い

ふと立ち寄った六本木の青山ブックセンターでジャケ買い。

これは吉本ばなな『TSUGUMI』に匹敵する表紙の美しさだと思う。レジで値段を読み上げられたところ、なんと5,400円。

勢いで購入…。

最初の”風景画家”ヨアヒム・パティニール

これは16世紀の画家ヨアヒム・パティニールの生涯を紹介した本だ。

パティニールは「最初の風景画家」として評価されているらしい。

この最初の風景画家というのが面白い。ちょっと考えるに、歴史上の絵画は、『モナリザ』にしろ『ヴィーナス』にしろ思い出すのは肖像画や宗教画ですよね。

なるほどランドスケープを対象とした絵画は、今でもこそ写真でも当たり前だけど、歴史的な絵画ではことさら思いつかない。

 

再評価される「青」のパティニール

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『聖クリストフォロス』 エル・エスコリアル修道院 (1520年~)

パティニールも最初は宗教画を描いていたようだ。そこから風景画に辿りつくパティニールの作風が面白い。作品は10数点しか現存していないが、後期に描かれた作品ほど、どんどん人物が小さくなっていく(笑)。

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『聖ヒエロニムスのいる風景』 プラド美術館 (1524年~)

代表作『聖ヒエロニムスのいる風景』に至っては、タイトルにもある聖ヒエロニムス、どこにいるかすぐわからない。正解は、周囲の風景に溶け込むように、洞窟の中にいます。

パティニールは俯瞰的な視点で遠くの風景を緻密に描いた。このリアリティの無さが低評価に繋がった時期もあったようなのだが、近年、本書のように再評価の兆しがあるようだ。

それがタイトルにもある「青」の使い方。青のグラデーションによる遠近感の表現がとても美しく、これを見て『青のパティニール』というタイトルに納得がいった。