日本が誇る鉄壁のB/Sを持つ任天堂の逆サイドを突っ走る、超オフェンシブ企業・ソフトバンクグループの決算発表がありました。
なんと有利子負債13兆円を突破。
スケールが違いますね。
利息などにあたる財務費用は5,161億円だそう。この低金利な環境でこれですから、インフレ基調が高まってきたら…財務部はさぞエキサイティングだと思います。
数年前に『債務、さもなくば悪魔』というベストセラーがありましたが、ソフトバンクの経営戦略は、まさに本書を地で行く、借金に賭けた戦略と言えます。
バランスシートのサイズを調べてみたところ、2009年頃は約4兆円でした。これが、最新の決算では31兆円。約10倍です。
このプロセスは比較的シンプルです。
ソフトバンクはリーマンショック以降の金融緩和がしばらく続き、世界的に低金利な環境が続くことに賭けた。そして、低金利で多額の借金をして、そのお金で将来的に価値を生むであろう、アリババやスーパーセルやスプリントやアームなど海外のテクノロジー企業につぎ込んだ。
つまり、ソフトバンクはもはや事業会社ではなくバークシャー・ハザウェイのような投資会社に近く、孫さんは起業家というより、投資家に近いのでしょう。世界が少しづつインフレ基調に戻っている今、ソフトバンクモバイルやスプリントなどを手放し、急速にB/Sをダウンサイジングしようとする嗅覚も絶妙に感じます。
日本で一番難しいバランスシートと言われるソフトバンクが転がしている負債の塊。このまま回し続けられるのか、それとも、どこかで自転車が回らなくなるときが来るのか…答えは神のみぞ知る、でしょうか。