『選択の科学』 決める回数を減らして幸せに生きよう

選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義 (文春文庫)

選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義 (文春文庫)

 

「決める」ことは本当にエネルギーを使います。ビジネスでも一番重たい仕事は意思決定で、普通の会社では、上にいくほど「決める」ことが仕事になります。

例えば、甲乙つけがたい2案から出店場所を決める、優秀な2人の部下のうちどちらか1人しか昇進させられない、リストラをするかしないか…、スケールは違えど「決める」ことは相当にエネルギーを使います。

この決断のストレスは日常生活にもあって、例えば今日はどんな服を着ていくか、どの靴を履くか、飲み会に参加するか/しないか、私たちの人生は意識するかしないかに関わらず決断の積み重ねです。

本書はそんな「決める」つまり「選択する」という行為をテーマにしています。この研究結果からすると、決めることにストレスを感じる人、決められないことにストレスを感じる人、2種類に分かれるそうです。

前者は儒教系のバックグラウンドがある私達アジア系であり、後者は自己表現を幼いころから育てられてきた欧米系に多いそう。

一見なるほどな感じもしますが、例えば、FacebookのザッカバーグやAppleのスティーブジョブスは(億万長者なのに)毎日同じ服を着ており、その理由は「決める回数を少なくして重要な意思決定に集中したい」からと言われています。

同じように、ちょっと前に流行った「ルーティーン」だって、ゲン担ぎもあるでしょうが、日々同じ行為をして「決める」機会をつくらないところに、心が安定する秘訣がありそうです。

そう考えると、自分が重要ではないと感じる物事を「決める」ことは、誰にとってもストレス以外のなにものでもないのだと思います。日常になるべくルーティーンを組み入れて、自分の好きなことだけ「決める」ことが幸せにつながる気がしますね。